認定看護師とは
看護師のキャリアアップ資格の1つ「認定看護師」。1995年に発足した、日本看護協会認定の資格です。
特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を用い、高水準の看護実践ができる看護師を育成。さらに、看護現場における看護ケアの広がりと質の向上をはかることを目的としています。日本看護協会の認定審査に合格することが必要です。
3つの役割
認定看護師は、特定の看護分野において、以下の3つの役割を果たします。
- 実践(個人、家族及び集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する)
- 指導(看護実践を通して看護職に対し指導を行う)
- 相談(看護職に対しコンサルテーションを行う)
21の認定看護分野
現行の認定看護分野一覧(2026年度をもって教育終了)
分野名 | 英語表記 | 知識と技術(一部) |
救急看護 | Emergency Nursing | 救急医療現場における病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施 災害時における急性期の医療ニーズに対するケア 危機状況にある患者・家族への早期的介入および支援 |
皮膚・排泄ケア | Wound Ostomy and Continence Nursing | 褥瘡などの創傷管理およびストーマ、失禁等の排泄管理 患者・家族の自己管理およびセルフケア支援 |
集中ケア | Intensive Care | 生命の危機状態にある患者の病態変化を予測した重篤化の予防 廃用症候群などの二次的合併症の予防および回復のための早期リハビリテーションの実施(体位調整、摂食嚥下訓練等) |
緩和ケア | Palliative Care | 疼痛、呼吸困難、全身倦怠感、浮腫などの苦痛症状の緩和 患者・家族への喪失と悲嘆のケア |
がん化学療法 看護 | Cancer Chemotherapy Nursing | がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理 副作用症状の緩和およびセルフケア支援 |
がん性疼痛看護 | Cancer Pain Management Nursing | 痛みの総合的な評価と個別的ケア 薬剤の適切な使用および疼痛緩和 |
訪問看護 | Visiting Nursing | 在宅療養者の主体性を尊重したセルフケア支援およびケースマネジメント看護技術の提供と管理 |
感染管理 | Infection Control | 医療関連感染サーベイランスの実践 各施設の状況の評価と感染予防・管理システムの構築 |
糖尿病看護 | Diabetes Nursing | 血糖パターンマネジメント、フットケア等の疾病管理および療養生活支援 |
不妊症看護 | Infertility Nursing | 生殖医療を受けるカップルへの必要な情報提供および自己決定の支援 |
新生児集中ケア | Neonatal Intensive Care | ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防 生理学的安定と発育促進のためのケアおよび親子関係形成のための支援 |
透析看護 | Dialysis Nursing | 安全かつ安楽な透析治療の管理 長期療養生活におけるセルフケア支援および自己決定の支援 |
手術看護 | Perioperative Nursing | 手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を予防するための安全管理(体温・体位管理、手術機材・機器の適切な管理等) 周手術期(術前・中・後)における継続看護の実践 |
乳がん看護 | Breast Cancer Nursing | 集学的治療を受ける患者のセルフケアおよび自己決定の支援 ボディイメージの変容による心理・社会的問題に対する支援 |
摂食・嚥下障害看護 | Dysphagia Nursing | 摂食・嚥下機能の評価および誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の予防 適切かつ安全な摂食・嚥下訓練の選択および実施 |
小児救急看護 | Pediatric Emergency Nursing | 救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施 育児不安、虐待への対応と子どもと親の権利擁護 |
認知症看護 | Dementia Nursing | 認知症の各期に応じた療養環境の調整およびケア体制の構築 行動心理症状の緩和・予防 |
脳卒中リハビリテーション看護 | Stroke Rehabilitation Nursing | 脳卒中患者の重篤化を予防するためのモニタリングとケア 活動性維持・促進のための早期リハビリテーション 急性期・回復期・維持期における生活再構築のための機能回復支援 |
がん放射線療法看護 | Radiation Therapy Nursing | セルフケア支援 安全・安楽な治療環境の提供 |
慢性呼吸器疾患看護 | Chronic Respiratory Nursing | 安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた呼吸器機能の評価及び呼吸管理 呼吸機能維持・向上のための呼吸リハビリテーションの実施 急性増悪予防のためのセルフケア支援 |
慢性心不全看護 | Chronic Heart Failure Nursing | 安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた生活調整及びセルフケア支援 心不全増悪因子の評価およびモニタリング |
新たな認定看護分野一覧(19分野:2020年度から教育開始)
分野名 | 英語表記 | 知識と技術(一部) |
感染管理 | Infection Control | 医療関連感染の予防・管理システムの構築 医療管理感染の予防・管理に関する科学的根拠の評価とケア改善 医療関連感染サーベイランスの立案・実施・評価 身体的所見から病態を判断し、感染兆候がある者に対する薬剤の臨時投与ができる知識・技術 |
がん放射線療法看護 | Radiation Oncology Nursing | 放射線療を受ける対象の身体的・心理的・社会的アセスメント 再現性確保のための支援 急性期及び晩期有害事象に対する症状マネジメントとセルフケア支援 医療被曝を最小限にするための放射線防護策、安全管理技術 |
がん薬物療法看護 | Cancer Chemotherapy and Immunotherapy Nursing | がん薬物療法の適正な投与管理とリスクマネジメント、暴露対策 がん薬物療法に伴う症状緩和 自宅での治療管理や有害事象に対応するための個別的な患者教育 患者・家族の意思決定支援と療養生活支援 |
緩和ケア | Palliative Care | 痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題のアセスメント 全人的問題を緩和し、QOLを向上するための症状マネジメント 家族の喪失や悲嘆への対応 |
クリティカルケア | Critical Care | 急性かつ重篤な患者の重篤化回避と合併症予防に向けた全身管理 安全・安楽に配慮した早期回復支援 身体所見から病態を判断し、侵襲的陽圧換気・非侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術 身体所見から病態を判断し、持続点滴中の薬剤(カテコラミン、ナトリウム、カリウム又はクロール、降圧剤、糖質輸液又は電解質輸液、利尿剤)の投与量の調整を安全・確実にできる知識・技術 |
呼吸器疾患看護 | Respiratory Nursing | 呼吸症状のモニタリングと評価、重症化予防 療養生活行動支援及び地域へつなぐための生活調整 症状緩和のためのマネジメント 身体所見を病態判断し、侵襲的陽圧換気・非侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術 |
在宅ケア | Home Care | 生活の場におけるQOLの維持・向上とセルフケア支援 対象を取り巻くケアシステムの課題に対する解決策の提案 生活に焦点をあてた在宅療養移行支援及び多職種との調整・協働 意思決定支援とQOLを高めるエンド・オブ・ライフケア 身体所見から病態を判断し、気管カニューレの交換が安全にできる知識・技術 身体所見から病態を判断し、胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換が安全にできる知識・技術 身体所見から病態を判断し、褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去が安全にできる知識・技術 |
手術看護 | Perioperative Nursing | 手術侵襲及びそれによって引き起こされる苦痛を最小限に留めるためのケア 手術中の患者の急変及び緊急事態への迅速な対応 患者及び家族の権利擁護と意思決定支援 身体所見から病態を判断し、経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整ができる知識・技術 身体所見から病態を判断し、侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術 身体所見から病態を判断し、直接動脈穿刺法による採血、橈骨動脈ラインの確保ができる知識・技術 身体所見から病態を判断し、硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整ができる知識・技術 身体所見から病態を判断し、持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整ができる知識・技術 |
小児プライマリケア | Pediatric Primary Care | 重篤な状態にある児もしくは医療的ケア児に対する重症化予防 外来及び地域等のプライマリケアの場におけるトリアージ 家族の家庭看護力・育児力向上に向けたホームケア指導 不適切な養育または虐待の予防、早期発見と、子どもの事故防止 身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術 |
新生児集中ケア | Neonatal Intensive Care | ハイリスク新生児の急性期の全身管理 障害なき成育のための個別ケア ハイリスク新生児と親への家族形成支援 不適切な養育または虐待のハイリスク状態の予測と予防 身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術 |
心不全看護 | Heart Failure Nursing | 心不全症状のモニタリングと評価、重症化予防 療養生活行動支援及び地域へつなぐための生活調整 症状緩和のためのマネジメント 身体所見から病態を判断し、持続点滴中の薬剤(カテコラミン、ナトリウム、カリウム又はクロール、降圧剤、糖質輸液又は電解質輸液、利尿剤)の投与量の調整を安全・確実にできる知識・技術 |
腎不全看護 | Nephrology Nursing | 疾病の進展予防、合併症の早期発見と症状マネジメント、セルフケア支援 腎代替療法の選択・変更・中止にかかわる自己決定に向けた支援 透析療法における至適透析の実現に向けた支援 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析濾過器の操作及び管理を安全・確実にできる知識・技術 |
生殖看護 | Reproductive Health Care | 性と生殖の機能、その障害とリスク因子に関する知識に基づく妊孕性の評価 性と生殖の健康課題に対する、多様な選択における意思決定支援 患者・家族の検査期・治療期・終結期の安全・安楽・納得を守る看護実践とケア調整 妊孕性温存及び受胎調節に関する指導 |
摂食嚥下障害看護 | Dysphagia Nursing | 摂食嚥下機能とその障害の評価 摂食嚥下機能の評価結果に基づく適切な援助・訓練方法の選択 誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の増悪防止に向けたリスク管理 |
糖尿病看護 | Diabetes Nursing | 血糖パターンマネジメント 病期に応じた透析予防、療養生活支援 予防的フットケア 身体所見から病態を判断し、インスリンの投与量の調整ができる知識・技術 |
乳がん看護 | Breast Cancer Nursing | 術後合併症予防及び緩和のための周手術期ケアと意思決定支援 ライフサイクルの課題を踏まえた、治療に伴う女性性と家族支援 乳房自己検診、リンパ浮腫等の乳がん治療関連合併症の予防・管理 身体所見から病態を判断し、創部ドレーンの抜去ができる知識・技術 |
認知症看護 | Dementia Nursing | 認知症の症状マネジメント及び生活・療養環境の調整 認知症の病期に応じたコミュニケーション手段の提案と意思決定支援 家族への心理的・社会的支援 身体所見から病態を判断し、抗けいれん剤、抗精神病薬及び抗不安薬の臨時の投与ができる知識・技術 |
脳卒中看護 | Stroke Nursing | 重篤化回避のためのモニタリングとケア 早期離床と生活の再構築に向けた支援 在宅での生活を視野に入れたケアマネジメントと意思決定支援 身体所見から病態を判断し、抗けいれん剤、抗精神病薬及び抗不安薬の臨時の投与ができる知識・技術 |
皮膚・排泄ケア | Wound Ostomy and Continence Nursing | 褥瘡のトータルマネジメント 管理困難なストーマや皮膚障害を伴うストーマケア 専門的な排泄管理とスキンケア 脆弱皮膚を有する個人・リスクがある個人の専門的なスキンケア 地域包括ケアシステムを視野に入れた同行訪問実施とマネジメント 身体所見から病態を判断し、褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去及び創傷に対する陰圧閉鎖療法ができる知識・技術 |
認定看護師になるには
認定看護師になるためには、5年以上の実務研修を経て、6か月間の認定看護師教育課程を修了したうえで、日本看護協会が行う認定審査(筆記試験)を受け、合格する必要があります。さらに、看護師とは違い、取得後も5年後ごとにレベル保持のための更新審査を受けなけれなりません。
受験資格の取得 教育課程修了+5年以上の実務経験 |
▶ | 認定審査 筆記試験 |
▶ | 認定看護師認定証 交付・登録 |
▶ | 5年ごとの 更新審査 |
新たな認定看護師への移行について
2020年までに資格を取得した現行の認定看護師(A課程認定看護師)は、特定行為研修を修了した上で、移行手続きを行うことで、新たな認定看護師(B課程認定看護師)へ移行することができます。
- 移行手続きは、2021年4月以降に開始予定です。
- 新たな認定看護師は特定認定看護師と名乗ることができます。
- 移行せず、現行の認定更新審査を受け合格することで、現行の認定看護師資格を継続することもできます。
香川県内の認定看護師教育機関
認定看護分野の教育課程については、各地の認定看護師教育機関で学びます。